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● 中国北東部・遼寧(Liaoning)省で化石が発掘された、柔らかい羽毛で全身が覆われた新種の大型獣脚竜「ユウティラヌス・フアリ(Yutyrannus huali)」の想像図(2012年4月4日提供)。(c)AFP/NATURE/BRIAN CHOO
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AFP-BBNews 2012年04月05日 16:28 発信地:パリ/フランス
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2869650/8743177?ctm_campaign=txt_topics
柔らかい羽毛に覆われた大型肉食恐竜、新種の化石を中国で発見
【4月5日 AFP】
全身が柔らかい羽毛で覆われた新種の大型肉食恐竜の化石が、中国北東部・遼寧(Liaoning)省で発見された。
大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)の一種で、体重は車1台分にもなり、これまで発見された羽毛恐竜の中で最大の種になるという。
中国科学院・古脊椎動物与古人類研究所(Institute of Vertebrate Palaeontology and Palaeoanthropoloy)の研究チームが、4日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。
■「美しい羽毛の暴君」
ラテン語と北京語の組み合わせで「美しい羽毛の暴君」を意味する「ユウティラヌス・フアリ(Yutyrannus huali)」と命名されたこの新種の化石は、「恐竜化石の宝庫」として知られる遼寧省の易県累層(Yixian Formation)で、ほぼ完全な状態で3体発掘された。
この地層は約1億2500万年前、恐竜たちが繁栄を極めていたとされる白亜紀のものだ。
同研究所の徐星(Xu Xing)氏によれば、
「ユウティラヌスの羽毛は単純な繊維状」で、
「現代の成鳥が持つような羽根ではなく、ひよこのふわふわした産毛に近かっただろう」という。
発掘された骨格化石には貴重な頭部も含まれ、後ろ足で2足歩行する獣脚竜によくみられる長細い頭部や鋭い牙、3本指の前足を持つ姿が明らかになった。
成体は体長約9メートル、体重は1.4トンにもなり、少なくとも約15センチメートルの長い毛に覆われていたと考えられる。
T・レックスに比べると小ぶりだが、ユウティラヌス以前に見つかった羽毛恐竜の中で最大のベイピアオサウルス(Beipiaosaurus)の推定体重と比べると約40倍と、かなりの大きさだ。
■羽はあっても飛べなかった?
ユウティラヌスの体は空を飛ぶには大き過ぎ、たとえ体が小さかったとしてもこの柔らかい羽毛では飛び立つことすらできなかっただろうと論文は指摘している。
なぜユウティラヌスに羽毛が発達したのかをめぐる1つの仮説は、長い白亜紀の間には気温が下がった時期があり、それに適応するためだったというものだ。
また別の説では、現代の鳥類が羽毛を求愛行動に使うのと同じように、ユウティラヌスも誇示行為に羽毛を用いたと推測されている。(c)AFP
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ナショナルジオグラフィック ニュース April 5, 2012
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120405003&expand&source=gnews
Christine Dell'Amore
for National Geographic News
最大の羽毛恐竜、中国で化石発見
ティラノサウルス・レックスの遠戚にあたる巨大な羽毛恐竜が発見された。
実在した羽毛のある動物では最大だという。
ティラノサウルス・レックス(T・レックス)が属する獣脚類に羽毛を持つものがいたことは既に知られている。
しかし、その多くは比較的小さな恐竜だった。
「そうした小さな獣脚類の大型の仲間にも羽毛があったかどうかは、はっきりとしていなかった」
と、今回の調査メンバーで北京にある中国科学院の古生物学者コーウィン・サリバン(Corwin Sullivan)氏は話す。
「軟組織が保存されていることは非常にまれで、どちらだとしてもデータがなかった」。
今回発見された成体1体、幼体2体の化石によって、大きな獣脚類も羽毛を持ちえたことが明確に示された。
羽毛は単純なもので、成鳥の硬い羽毛というよりヒナの軟らかい綿毛に近い。
新種の恐竜は、ユウティラヌス・フアリ(Yutyrannus huali)と命名された。
ラテン語と中国語の組み合わせで、“美しい羽毛の王”を意味する。
◆巨大な“ヒナ”
1億2500万年前の3体の化石は中国北東部の遼寧省で、白亜紀の同じ地層から見つかった。
この地域ではシノサウロプテリクスなど、ほかにも有名な羽毛恐竜が見つかっている。
成体のユウティラヌス・フアリは体長9メートル、体重1400キロと調査チームは推計している。
体重は、同じ科のティラノサウルス・レックスの5分の1から6分の1ほどだが、これまで最大とされていた羽毛恐竜と比べると約40倍ある。
羽毛の化石は長さ15~20センチで、3体の化石のさまざまな場所に散らばって保存されていた。
このため調査チームは、ユウティラヌス・フアリは全身を羽毛で覆われていたものと推測している。
その大きなサイズと、羽毛が原始的なものであることから、空を飛んでいた可能性は排除されるとサリバン氏は話す。
全身を覆う柔らかい毛は体温を保つ助けになったのではないだろうか。
メリーランド大学の古生物学者トム・ホルツ(Tom Holtz)氏は、
「化石で見つかる最も単純なタイプの羽毛で、体が小さく断熱性が重要な動物にみられるものだ」
と語っている。
同氏は今回の調査には参加していない。
◆何のための羽毛?
断熱のために羽毛が必要だったのだとすると、いくらか驚きだ。
体の大きな動物は通常、体温の保持が極めて容易だからだ。
ユウティラヌス・フアリが生息していた白亜紀初期の中ごろは、T・レックスがいた白亜紀末期よりも世界的に気温が低かったと考えられている。
しかしメリーランド大学のホルツ氏は、白亜紀末期のティラノサウルス・レックスやその仲間たちも、暖かい環境だけに暮らしていたわけではないと指摘する。
「T・レックスは広い範囲に生息していた。
北極圏にいなかったと考える理由はない。
北アメリカでは多くが北から南までじつに幅広く活動したので、断熱性のある羽毛のようなものがあれば、すぐにその恩恵を得られたはずだ」。
現代ではトラが好例だとホルツ氏は言う。
「トラはシベリアの森林から東南アジアのジャングルにまで生息している。
確かにシベリアトラのほうが毛が長いが、南にすむトラも毛で覆われている」。
ユウティラヌス・フアリの“原始の羽毛”には、成体を暖かく保つ以外にも機能があったのだとホルツ氏は主張する。
例えば、卵を温める際に役立ったのかもしれない。
性的誇示やカモフラージュの可能性もある。
「これらは並立できる機能だ」。
今回発見された羽毛恐竜の論文は、「Nature」誌の4月5日号に掲載されている。
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朝日新聞 2012年4月5日7時46分
http://www.asahi.com/science/update/0405/TKY201204040907.html
全長9メートル、羽毛ふさふさ恐竜 中国で化石発見
鳥のような羽毛をまとった全長9メートルの新種の大型恐竜の化石が中国で見つかった。
羽毛のある恐竜はこれまで、体長2メートル程度の種類しか、確認されていなかった。
中国とカナダの研究チームが5日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
化石は3体分で、中国遼寧省の白亜紀前期(1億2千万年前)の地層から見つかった。
化石の分析で、大型肉食恐竜ティラノサウルスの仲間で、最大の個体は全長9メートル、体重1.4トンと推定された。
羽毛は15~20センチで柔らかく、体温を保つのに役だったようだ。
研究チームは、ラテン語と中国語で「美しい羽毛の王」を意味するユウティラヌス・フアリと名付けた。
羽毛恐竜はこれまで、全長2メートル程度の小型、中型の種類しか見つかっていなかった。
大型恐竜は体内に熱を保ちやすく、羽があると、オーバーヒートして生存に不利になる可能性があるとして、大型種がいたか、専門家の間でも論争になっていた。
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