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● JNNニュース
中国大使館員というのはすべて共産党員で、スパイ活動に従事していることは広く知られている事実である。
しかし、日本はこれまでスパイ活動での摘発をしてこなかった。
言い換えると分かっていながら見過ごしていた。
勝手に泳がせておいた、ということ。
では、なぜ今回それをやったか、ということがポイント。
それもスパイというには非常にチャチは行動。
まあ、答えは簡単。
昨今の日中対立におけるバカバカしほどの中国の動きに、ちょっと小石を投げてみようということだろう。
言い換えれば挑発であり、反中国世論を高めるためのプッシュである。
おそらくこのスパイは、ぺけレベルのスパイだろう。
トップクラスのスパイは、まだ泳がしてあるし、これからも泳がし続けるだろう。
なを、これに対して中国は対抗処置に出るだろう。
ちょっとしたいいがかりをつけて、同じように今度は日本大使館員を些細なうっかりミスを大仰に言い立てて、拘束して追放するか、軍事施設等近寄った民間人をつかまえて事件にもっていくかといったところだろう。
そんな中国の出方を伺っているのが日本。
端的にいうと中国の出方を探るべく、ペイペイのスパイを遡上にあえて載せた、ということだろう。
「ボスザルの行動監視中」
といったところか。
どんな外交手段に出てくるか、これは見ものである。
『
TBSニュース 29日11:17
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5041193.html
東京の中国大使館の一等書記官がうその申告をして、必要のない外国人登録証を取得した疑いがあるとして、警視庁公安部がこの一等書記官に出頭を要請していたことがわかりました。
書記官はこれを拒否し、すでに帰国しています。
警視庁公安部が出頭要請したのは、在日中国大使館に勤務する45歳の一等書記官です。
警視庁によりますと、この書記官は外交官として勤務を始めた翌年に、在留資格についてうその申告を行い、外国人登録証を不正に取得した公正証書原本不実記載などの疑いがあるということです。警
視庁は書記官を書類送検する方針です。
「こういった形になるということは全く考えも及びませんでした」(葛飾区役所の担当者)
警視庁は5月、外務省を通じて2度にわたって出頭を要請しました。
だが、中国大使館はこれを拒否し、書記官はすでに帰国したということです。
また、警視庁によりますと、書記官は外国人登録証を使って銀行口座を開設し、日本企業から「顧問料」を受けとっていた可能性もあるということで、警視庁は書記官の活動実態について調べを進めています。
』
『
FNNスーパーニュース (05/29 12:15)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00224258.html
在日中国大使館の1等書記官が、うその身分で外国人登録証を取得していた疑いがあるとして、警視庁公安部が出頭を要請していたことがわかった。
書記官はこれを拒否し、5月23日、中国に帰国した。
在日中国大使館に勤務する45歳の1等書記官は、2008年、葛飾区役所で、うその身分で外国人登録証の更新をした公正証書原本不実記載などの疑いが持たれている。
書記官は、この外国人登録証を使って、銀行口座を開設、この口座には、東京都内の健康食品会社から現金が振り込まれていて、ウィーン条約で禁止されている「外交官の商業活動」に抵触する疑いもあるという。
公安部は、書記官に出頭を要請したが、5月23日、書記官は拒否し、帰国した。
書記官は、中国人民解放軍の情報機関である総参謀部に所属、日本国内で政財界と幅広く交流していたということで、公安部は、書記官の活動実態の解明を進める方針。
』
『
2012年5月29日15時54分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120529-OYT1T00791.htm
「彼がスパイ…」驚き戸惑う松下政経塾同期ら
「まさか彼がスパイ活動に関係していたとは」――。
警視庁公安部が在日中国大使館の1等書記官(45)に出頭要請していたことを受け、外交官として着任する前に付き合いがあった国会議員や松下政経塾関係者から驚きの声が上がった。
書記官が1999年、海外インターンとして約半年間過ごした松下政経塾の同期だった森岡洋一郎衆院議員(民主)は29日、取材に応じ、
「自分から積極的に動くような人ではなく、おとなしい印象しかない」
と振り返り、
「塾時代もその後も、何かの働きかけを受けたことはない」
と話した。
書記官は同塾で自己紹介の際、
「日本の政治を勉強しに来た」
と話していた。
日本語は上手だったが、茶道研修の時は長時間の正座ができず困っていた様子だったという。
インターン期間が終わった後は連絡を取っていなかったが、森岡氏が衆院議員になった後の2010年秋頃、書記官として森岡氏の事務所を訪れ、大使館での交歓会の招待状を置いていった。
森岡氏は不在で、交歓会にも出席しなかったという。
その後、都内の地下鉄の駅で偶然再会し、「久しぶり」と言葉を交わしたのが最後だという。
森岡氏は
「本当にスパイ活動をしていたのか、本人に聞いてみたい。
公安当局には徹底的な捜査を望みたい」
と話した。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2012/05/30 08:52
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/30/2012053000650.html
中国外交官のスパイ疑惑、日本で騒動拡大
日中関係が尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題などで冷え込む中、日本の公安当局はこのほど、在日中国大使館の一等書記官(45)によるスパイ容疑について、捜査を進めていることが明らかになり、両国間で新たな対立の種となっている。
スパイ行為の疑いが浮上している外交官は、野田佳彦首相や玄葉光一郎外相らを生んだ「松下政経塾」にも所属していたことがあり、普段から日本の政財界関係者と幅広く交際があったことが判明した。
29日付読売新聞によると、スパイ容疑が浮上した問題の一等書記官は、警視庁の出頭要請を拒否し、出国したという。
中国大使館は
「スパイ活動説に根拠はなく、任期切れで帰国したものだ」
と説明している。
警視庁と公安当局は、一等書記官が表向きは経済分野担当の外交官として活動していたが、元は中国人民解放軍の情報機関「総参謀部第2部」の出身であり、外交官に身分を偽装し、日本でスパイ活動を行っていた可能性が高いとみている。
松原仁・国家公安委員長は
「中国による対日諸工作に重大な関心を払っており、情報収集・分析に努めるとともに、違法行為に対しては厳正な取り締まりを行っているものと承知している」
と述べた。
政界は与野党を問わず、今回の事件は「スパイ事件」だとして騒然としている。
日本側は、問題の外交官の行動に多くの疑問点を指摘している。
外交官は1989年に中国人民解放軍傘下の外国語学校を卒業し、93年に河北省洛陽市の公務員という身分で、姉妹都市の福島県須賀川市に派遣された。
その後、97年に帰国し、中国社会科学院の日本研究所副主任を務め、99年に再来日し、松下政経塾の外国人特別学生となった。
2003-07年には、東京大東洋文化研究所、公共政策大学院などで研究員として働いた。
そして、07年7月からは在日中国大使館の経済担当の一等書記官となった。
日本の警察当局は、問題の外交官が、東京大の研究員だった当時に受け取った外国人登録証で08年に銀行口座を開設し、中国進出を目指す日本企業から「顧問料」などの名目で数百万円を受け取っていたとみている。
公安当局は
「顧問料などをスパイ活動費として使っていた可能性が高い」
と指摘した。
最近、領土紛争で悪化した日中関係は、日本がフィリピンに巡視船を供与する方針を固めたことや、中国からの分離独立を目指す亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」世界大会の東京での開催を認めたことなどで、対立を深めている。
中国も要人の訪日を相次いでキャンセルした。
日本が外交官スパイ事件疑惑を指摘したことへの報復として、
中国が自国内にいる日本の外交官や民間人をスパイ容疑で追放する
のではないかとの観測も浮上している。
中国政府は10年、尖閣諸島問題で日本との対立が激化した際、日本の商社駐在員をスパイ容疑で拘束している。
玄葉外相は28日の講演で、中国の軍備増強に懸念を示し、日本が主体的に防衛力を強化するため、防衛費を増額する必要があると述べた。
』
『
サーチナニュース 2012/05/30(水) 09:26
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0530&f=politics_0530_003.shtml
中国書記官のスパイ疑惑、「事実無根ででたらめ」=中国大使館
在日中国大使館の1等書記官が外交官の身分を隠して外国人登録証明書を不正に入手し、ウィーン条約で禁じられている外交官の経済活動やスパイ行為を行っていた疑いがあるとして、警視庁公安部が出頭要請したことについて、在日中国大使館は環球時報の取材に対し、
「事実無根であり、まったくのでたらめだ」
と否定した。
警視庁公安部は、書記官が2008年に外交官の身分を隠して外国人登録証明書を不正に入手、銀行口座を開設し、東京大学の研究員として身分を偽っていた可能性があるとして、出頭を要請したが、書記官は2012年5月に「任期満了」で帰国したという。
報道によれば、書記官は1989年に解放軍外国語学院を卒業、中国人民解放軍総参謀部に配属された。93年に洛陽市政府の職員として日本に派遣され、福島県で4年を過ごした。
97年にいったんは中国へ帰国するも、99年に再び来日した書記官は研修生として松下政経塾に一時在籍、07年より在日中国大使館の書記官として就任していた。
書記官は日本語が流暢な日本通であり、日本財政界と広い人脈を持つとされる。
環球時報は、
「中国外交官のスパイ疑惑に対し、日本世論の注目が集まっている」
と報じたほか、日本JCC新日本研究所の庚欣副所長は環球時報の取材に対し、
「外交官による銀行口座の開設は、実際には些細なこと」
と主張した。
また庚欣副所長は、各国には兵役経験のある外交官が数多く存在すると述べ、
「背後に軍があれば、それでスパイとなるのか」
と疑問を呈した。
』
「デタラメ」というのは中国や北朝鮮の常套句のような反応。
予想通りの反応といっていい。
実際、銀行口座開設程度では「スパイ」というには当たらない。
問題はその後である。
おそらく対応は2つある。
①.まずは、中国の反応を引き出しておいて、スパイに該当するような重要事項を公表して、中国当局のあいまいな判断を叩いて中国当局の威信を貶めるか、
②.それとも中国が不要な行為を行わなければこれで終わりにするが、もし何かやったら公表するぞ、と脅しをかけ、うゼスチャーを見せるだけで終幕にするか
である。
これは、日本側の政治的判断によるだろう。
ひっくるめていえば、日本側の中国への挑発である。
『
ウオールストリートジャーナル 2012年 5月 31日 8:24 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_451980
複数口座に「報酬」=中国書記官、日系企業の役員に―ウィーン条約違反か・警視庁
在日中国大使館の李春光1等書記官(45)が外国人登録証の不正取得容疑で警視庁の出頭要請を受けた問題で、李書記官が複数の銀行口座を不正に作り、日本企業から計数百万円の報酬を受け取っていたことが30日、捜査関係者らへの取材で分かった。
うち1社については、設立に協力した香港の系列会社の役員になっていたという。
警視庁公安部は、ウィーン条約で禁じられた外交官の経済活動に当たるとみて、詳しい経緯を調べている。
関係者によると、李書記官は外交官の身分を隠して不正取得した外登証を使い、10前後の口座を開設。
口座には中国進出を検討している企業などから、報酬として計数百万円が振り込まれていたという。
[時事通信社]
』
『
河北新報社 2012年05月31日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/2012053001001818.htm
書記官のスパイ活動「根拠なし」 中国外務省が報道否定
●北京の中国外務省で定例記者会見に臨む劉為民報道局参事官=30日午後(共同)
【北京共同】中国外務省の劉為民報道局参事官は30日の定例記者会見で、在日中国大使館(東京都港区)の1等書記官がスパイ活動をした疑いがあるとの報道を「全く根拠がない」と述べ、重ねて否定した。
劉氏は、書記官の実名は李春光氏だと明らかにした。
書記官が外国人登録証明書を悪用し、ウィーン条約で禁じる商業活動をしたとの疑いに
「中国側の関係部門が調べて確認を行う」
と説明、中国政府が調査を進める考えを示した。
劉氏は
「(書記官は)長期間、日本研究の学者だった」
と強調。
政府直属のシンクタンク、中国社会科学院から臨時で在日中国大使館に出向、経済問題を担当していたという。
』
『
NHKニュース 5月30日 18時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120530/k10015489121000.html
中国 書記官の事情調査が必要
東京にある中国大使館の1等書記官が外国人登録証を不正に入手した疑いが出ている問題で、中国大使館の報道官は、30日、
「さらに事情を調べる必要がある」
と述べ、中国政府として、書記官に違法な活動がなかったか調査する考えを示しました。
東京の中国大使館に勤務する45歳の1等書記官は、平成20年に、外交官であることを隠して外国人登録証を不正に入手した疑いが持たれていて、さらにこの外国人登録証を使って開設された銀行口座に、中国の農業特区での事業投資などを名目に、複数の企業に金を振り込ませていた疑いも出ています。
この書記官は、今月中旬に警視庁に出頭を要請されましたが、これに応じず、帰国しました。
この問題について、中国大使館の楊宇報道官は、30日の定例記者会見で
「さらに事情を調べる必要がある。
中国の外交官には厳しい服務規程がある」
と述べ、中国政府として、書記官に違法な活動がなかったかどうか調査する考えを示しました。
一方、書記官が、人民解放軍の情報機関に所属していたのではないかという指摘について、楊報道官は
「われわれが把握しているかぎり、そのような経歴はない」
と述べたうえで、日本の機密情報を違法に収集するなど、スパイ活動をしていた疑いがあると一部で報道されたことについても
「根拠がない」
と否定しました。
この問題では、中国外務省の劉為民報道官も、30日の定例会見で
「彼がスパイ活動に関わっていたとする報道は、完全に根拠のないもので、日本側にもこの点は伝えた」
としたうえで
「そのほかの問題については、中国側の関係部門が事実関係を確認するだろう」
と述べました。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年5月31日 4時35分
http://www.recordchina.co.jp/gallery.php?gid=61703
「そもそも外交官はスパイでは?」
在日大使館書記官のスパイ疑惑に冷めた反応―中国版ツイッター
2012年5月30日、警視庁公安部が中国在日本大使館の1等書記官に対し出頭要請を行っていたとの報道は、中国国内でも伝えられている。
書記官は外交官の身分を隠して外国人登録証明書を不正に入手、国会議員や松下政経塾関係者らとも交友関係があり、諜報(ちょうほう)活動を行っていたとの疑いが持たれている。
農水省による農産物の対中輸出促進事業にも深く関わっていたとされ、外部に漏れた関連機密文書の内容も把握していた可能性を報じられている。書記官は今月、任期満了ですでに帰国している。
この報道について、“中国版ツイッター”と呼ばれる簡易投稿サイトでは
「そもそも外交官はスパイではないのか?」
という主旨の冷めた書き込みが飛び交っている。
●.「外交官とスパイって同義語でしょ?」
●.「外交官ってみんなスパイじゃないの?
日本では違うの?それとも、知らないふり?」
●.「外交官が諜報活動を行うのはきわめて正常なこと。
それを外交部が否定するのも正常なこと」。
●.「多くの外交官がスパイ活動に従事しているなどという誰もが知っている常識を、
なぜ今になってわざわざ話題にするのか?」
反対に、書記官をスパイと断定するには論拠が足りないとする声も。
●.「日本のマスコミは考えすぎ。
わずかな私利のために、外交官が身分を偽って小銭稼ぎ?
2008~2012年の間に数百万円を得たと言うが、これはスパイ活動の報酬としては留学生のアルバイト代にも劣る額だ」。
●.「報道が事実なら、一連の諜報活動に必要とされる経費は月々数十万円をくだらないだろうな」。
●.「事実はそんなに複雑なものではない。
この書記官は日本でちょっと副収入を得たかっただけだ。
日本のメディアは皆スパイと騒いでいるが、彼がどのような情報を入手したのか誰も言及していない。
副収入を得たいという心情は理解できるが許せるものではない。
特に外交官であれば。彼は一個人としてではなく国家を代表している存在なのだから」。
日中国交正常化40年という節目の1年に、両国関係に立ち込める暗雲を指摘する声もあった。
●.「今年に限って、日中関係に波風が絶えないな。
尖閣諸島問題、世界ウイグル会議(亡命ウイグル人の組織)代表大会の東京開催、中国要人の訪日中止など…」。
』
中国外交官がスパイであるというのは公然の秘密であり、それは広く知られたことである。
それを捕まえないというのが日本の原則である。
それを今回、公にした。
それもスパイというのはあまりにもおぼつかない罪状で。
つまり、公にしてはいけない部分は隠して、どうでもいいザコのレベルの低い公務規定の違反者をメデイアに載せたということである。
なぜこの時期にそんなことをしたか。
この意味がわかれば、合格、といったところだろう。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年5月31日 13時35分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=61713&type=0
<レコチャ広場>
覚悟はよいか?
「スパイ事件」は冷戦の始まり、先に仕掛けたのは日本だ
2012年5月29日、在日中国大使館の1等書記官に対するスパイ疑惑を受け、中国の軍事評論家、趙楚(ジャオ・チュー)氏が
「スパイ戦は中日間に小規模な冷戦を引き起こす」
と題した記事を中国のブログサイト・網易博客に掲載した。
以下はその内容。
在日中国大使館の1等書記官によるいわゆる「スパイ事件」が日本で大々的に報じられている。
なんとも奇妙な現象だ。時代の流れに逆行した冷戦式の報道が、なぜこの時期に?
これは一般的なスパイ報道とは訳が違う。
日中関係が多難の時代に突入したことを暗示するものだ。
両国政府はついこの間、東シナ海における危機管理体制の構築を話し合ったばかりではないか。
全く矛盾している。
今さら言うまでもないが、外交官によるスパイ活動など公然の秘密だろう。
それをわざわざ白日の下にさらすとは。
そこには間違いなく政治的な意図が含まれている。
これは両国の外交上の対立がエスカレートしたことを示すシグナルだ。
冷戦時代、日本がこうした手法で当時のソ連外交官を追放することは珍しくなかった。
それから30年。
まさか、その矛先が中国に向けられるとは。
日本がこれほど冷戦色の強い行動に出てくるにはそれなりの理由がある。
中国の台頭に対する焦りだ。
両国間には重々しい歴史的なしがらみがあり、それが今のギスギスした戦略競争へとつながっている。
アジア太平洋地域のリーダーの座をめぐる目に見えない攻防。
だが、どう考えてもこのままいけば中国がその座に就くのは明白だ。
そうなれば、日中関係はどうなってしまうのか。
不安だけが膨らみ、中国に対する疑心暗鬼が強まっていく。
今回、こうした冷戦式の常とう手段に出たのは「絶対に負けない」という意思表明なのだろう。
だが、その一方で両国間には経済や貿易などで巨大な共同利益が存在する。
そのすべてを壊してしまっては大変だ。
大局を維持しながら自らの悩みを解決したい。
海自の練習艦をフィリピンに訪問させたり、
スパイ事件を大きく報じたり
といった細々とした動きこそ、
日本にとって東シナ海問題で圧力をかけてくる中国に対する巧妙な反撃
だったのだ。
だが、その背後に潜む巨大なリスクには気付いていないらしい。
冷戦はいったん始まってしまえば、終わりにするのは難しい。
今回のような冷戦式手法に出れば、必ず自分にはね返ってくるということは、少しでも歴史を知っている人なら誰でも分かること。
日本人は本当にその準備ができているのだろうか?
』
この説、なかなかいいところをついている。
こうこないといけない。
「日本よ、覚悟はよいか !」
「日本人はその準備ができているか ?」
『
JB Press 2012.06.01(金) 宮家 邦彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35343
中国一等書記官スパイ疑惑は事後処理が一大事本物に失礼すぎないか
~中国株式会社の研究(165)
中国について書き始めて早7年、当初こそ題材集めに苦労したものだが、最近ネタには事欠かない。
前回は在京中国大使の「内政干渉」書簡事件を取り上げたが、今週は同じ中国大使館経済部一等書記官の「スパイ疑惑」の真偽を筆者の独断と偏見で検証する。(文中敬称略)
■事実関係
疑惑の外交官は李春光(45歳)、2007年から在京中国大使館経済部の一等書記官を務めた。
警視庁によれば、同書記官は外交官の身分を隠して東京都の葛飾区役所で外国人登録証明書を不正に入手し、銀行口座を開設したという。
李春光書記官には、中国進出を狙う日本企業に中国国有企業を紹介して私的に手数料を得た疑いもあり、外交関係に関するウィーン条約違反の可能性がある。
それ以外にも、同書記官には政府重要機密や防衛先端技術などの「スパイ活動」疑惑が浮上している。
李春光は1967年生まれ、89年に河南大学(人民解放軍外国語学院説もある)日本語学科を卒業。89年洛陽市政府国際文化交流センター、93年に福島県須賀川市国際交流員、97年福島大学、99年松下政経塾、2003年東大東洋文化研究所などに在籍したという。
スパイ疑惑について中国側は「全く根拠がなく荒唐無稽」と全面否定だ。
中国識者も「外交官の口座開設は些細なこと」と切り捨てる。
冗談じゃない。
日本の外交官は外国で商業活動などしない。
ウィーン条約上も「接受国の法令尊重」は外交官の基本的義務である。
■李春光との名刺交換
当初は匿名で報じられたが、5月30日に中国外交部が実名を公表した。
早速調べてみたら、何と筆者はこの男「李春光」に2度会ったことがある。
最初は2002年9月9日、場所は北京空港貴賓室、ある日本要人の出迎えで一緒になり、名刺を交換していた(上の写真)のだ。
名刺を見る限り、当時の所属は「中国社会科学院日本研究所」だが、報道にある「副所長」の肩書はない。
印象については、どこかの大臣と同様、筆者も
「一、二度会ったかもしれないが、よく覚えていない」
としか言いようがない。
特に悪い印象もなかったが・・・。
日本語についても、特に流暢という記憶はない。
日本研究所にはこの種の「学者」が大勢いる。
少なくとも特別優秀という印象は全く持たなかった。
だからだろうか、その後も付き合いはない。
逆に、付き合っていたら、今頃大変なことになっていたかもしれないが・・・。
実はこの事件が報じられた直後、複数のテレビ局からコメントを求められた。
「李春光=中国人民解放軍スパイ説」を前提に中国の諜報活動の実態について多くの質問を受けた。
有難いことに、彼らはこのコラムの昔の記事を読んでくれていたようだ。
「あなたの周りにいる中国のスパイたち」
「英国の諜報機関が見た中国のスパイ活動」
「米情報関係資料が語る中国の実像」
「米国で暗躍する中国諜報機関」
申し訳ないが、これらのインタビューは丁重にお断りした。
理由は、「李春光」のことを知れば知るほど、この男が解放軍総参謀部第二部所属のプロフェッショナルなインテリジェンスオペレーターという前提でコメントすることに疑問を持ったからだ。
●疑問(1):解放軍外国語学院卒は本当か
警視庁が調べたのなら可能性は高いだろう。
問題は李春光が今も現役軍人で、総参謀部第二部に所属するかどうかだ。
本当にプロのスパイなら、これほど「人目につく」雑多な経歴を残すだろうか。
中国の高等戦術とは思えない。
筆者の最初にして最大の疑問だ。
筆者の見立てはちょっと残酷である。
彼は、仮に解放軍出身だとしても、成績優秀ではなかったのだろう。
だから解放軍や軍諜報機関には就職できなかった。
仕方なく河南省洛陽市に就職し、日本専門家として別のキャリアパスを目指したのではないか。
その後の経歴を見ると、何とか福島県に来るチャンスを得た後、ようやく北京の社会科学院に籍を置き、さらに松下政経塾、東大に潜り込んで必死にキャリアを磨いた。
それでも中国政府内の評価は高くない。
恐らく、李春光は「共産党員」ではないのかもしれない。
●疑問(2):なぜ45歳にもなって一等書記官なのか
李春光が今も解放軍とのコネを維持している可能性は否定しない。
だが、強力なコネがあるなら、「45歳で一等書記官」とは信じがたい。
もちろん、スパイは目立たないようにランクを低くすることが多いだろうが、この男、その割には日本で目立つことをやり過ぎる。
この「一等書記官」は、プロフェッショナルな仕事をするための「世を忍ぶ仮の姿」ではないだろう。
筆者は、地方出身の「叩き上げ」日本専門家が「血と汗と涙」でようやく上り詰めたピッカピカの「官職」だと見る。
この男の話には生活臭が多過ぎるのだ。
●疑問(3):なぜ銀行口座を開設して私的に顧問料を取るのか
大使館の経済部に所属して防衛ハイテク情報や日本大手企業の秘密技術を掠め取ろうとするスパイがいても決しておかしくはない。
だが彼の場合、堂々と中央官庁の副大臣室に乗り込み、政商のごとく日中農業ビジネスを仕かけている点が逆に「プロ」らしくない。
さらに、その日本側関係団体から顧問料を取り、私的に開設した口座に振り込ませているのだから、ほとんど笑ってしまう。
およそプロのスパイなら、自前に一定の秘密工作資金を持ち、自らは一切前面に出ず、自国のため密かに情報収集するものではないのか。
李春光にはプロの矜持がない。
政治家の周りを派手に立ち回って情報を入手する一方、国家のためではなく、秘密裏に私腹を肥やすとは何事か。
もっと
地道に日本でスパイ活動を行っているほかのプロフェッショナルな中国スパイたちに対し実に失礼
ではないか。
彼が過去数年間やってきたことは、「外交」というよりも「ビジネス」であり、「スパイ活動」というよりは「ブローカー業務」であった。
しかし、それでも筆者は、彼が「スパイ」であるとの指摘は恐らく正しいだろうと考える。
■いかにも中国らしいスパイ
●台湾の台北市で見つかったスパイカメラ〔AFPBB News〕
各種報道によれば、日本で李春光を知る人々は一様に、「とてもスパイをやるようには見えない」「まさか、信じられない気持ちだ」などとコメントしている。
何とナイーブな人たちなのだろう。
「信じられない」と言いたいのは、むしろこちらの方だ。
李春光がスパイかどうかは、「スパイ」の定義次第である。
辞書に「スパイ」とは「相手や敵の様子を密かに、多くの場合、非合法的手段で探る人」とある。
このような広い意味で彼が「スパイ」であることは否定できないし、これを否定する意味もない。
中国諜報活動の最大の特徴は「素人」による「人海戦術」型情報収集だ。
ジェームズ・ボンドのようなプロのスパイが特定情報をピンポイントで盗み取ることは少ない。
その意味で、李春光は「プロ」になり切れない、いかにも中国的な「素人に近いスパイ」と言えるだろう。
ロシアや北朝鮮に比べ、中国によるスパイ事件の摘発が難しい理由の1つがこれだ。
しかし、日本にとってより重大なことは、中国がスパイ活動などしなくても、日本の一部政治家が「日中友好」を理由に重要情報を「自発的に」中国側に喋ってきたことではないのか。
■これから日中間で起こること
いずれにせよ、日本でこの「李春光」事件は今や単なる「スパイ疑惑」の枠を超え、政局がらみのスキャンダルに発展しつつある。
今後この問題は、第3の「閣僚問責決議」など、日中関係の本筋とは離れた日本の内政力学に翻弄されていくだろう。
それはそれで興味深いのだが、筆者の関心はあくまで日中外交関係の行方だ。
中国大使館の一等書記官が、こともあろうに「スパイ」の汚名を着せられ、日本のマスコミに辱められたのだ。
中国側は間違いなく、これを日本政府の新たな策謀と受け取るだろう。
恐らく、彼らは報復を考えるはずだ。
時期は分からないが、近い将来、日本の外交官や在留邦人の国外追放が起こる可能性がある。
場合によっては、尖閣諸島付近で報復行動に出る可能性すらあるかもしれない。
当面、日中関係は緊張が続くだろう。
問題はその後だ。
「中国側は民主党政府を見限るか」、それとも「野田政権に恩を売ろうとするのか」。
昔の自民党政権時代なら誰かがこんなふうに考えたかもしれない。
だが、今の日中関係にそんな「戯言」を言っている余裕はない。
日中ガチンコ対決は不毛かつ非生産的だが、肝心の日本の政治レベルの対中関心が「対中農業輸出ビジネス」では、あまりに情けない。
今こそ、日中間でこの種の摩擦を上手に制御する政治的英知が求められている。
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日本政府は日本で地道にスパイをやっているプロフェッショナルな中国スパイは摘発しない。
泳がし続けている。
そして、どうでもいいようなザコを、どうでもいいような理由で公にした。
これが外交だろう。
この意味が重要であろうと思う。
当然、中国は報復にでる。
今の日本政府は「臭いものフタ」をしない。
でも全面的にフタはとらない。
チョビットだけ開ける。
そして反応を待つ。
その報復を待っている。
そこに現政権の存立基盤を見出している。
中国が強く報復に出れば、それだけ現政権には有利に働く。
「中国は恐ろしい」と過大に宣伝できるからだ。
この記事の筆者のように、波風を立てないのがベターといった消極的な反応はしない。
外交とはそういうものだ。
ようは「ハッタリ」で相手の出方をうかがう。
相手が大きくでるか、小さくでるか、見極めようとする。
大きくでれば万々歳。
それで、国論がまとまる。
小さくでれは、執拗にちょっかいをかける。
中国の外交政策というものは一貫していない。
だから、時にソッポを向いてしまう。
なんの政策もないから時間稼ぎをする。
冷静に見ていれば単純なものにすぎない。
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